アサーティブとは?

assert your rights 海外生活での人間関係。

日本では、Assertive(アサーティブ)という言葉は普段あまり聞かないですよね。

アサーティブとは、いったどういう意味なのでしょうか。

辞書を調べると、「断定的な、言い張る」「自身に満ちた態度の、積極的な」となっていました。前者はちょっとネガティブな感じの訳になっていたので、ちょっと驚きました。

欧米での英語での効果的なコミュニケーションを語るにあたって、このassertiveという言葉が否定的な意味合いで使われることはほぼないからです(訳にも文化が反映されるということでしょうか)。

したがって、後者の「自信に満ちた態度の、積極的な」というポジティブな訳のほうがしっくりくると思います。

ですが、この訳では、日本人にはニュアンスまではなかなか理解しにくい概念でしょう。

留学・海外移住している人は、必ず聞いたことがあるであろうこの単語、ではいったい具体的にはどういう意味なのでしょうか。

Assertive の意味

アサーティブとは、自分の意見や自分自身に自信をもち、意見をきちんと述べたり、また正当な権利を主張したりできる態度のことです。北米では、特に仕事・ビジネスの場面において、「デキる」人材の必要不可欠、基本中の基本ともいえる資質の一つとみなされています。またビジネス以外の場面でも、普段の生活の中でもassertiveであることは大切。外からの評価もそうですが、自分の精神衛生上の安定を保つためにも重要な要素であることを覚えておきましょう。人に気を使って自分の意見を曲げたり、または言いたいことを飲み込んで相手に同調したり、顔で笑ってこころで泣いて、というのを続けていると、北米での暮らしのなかでは心が折れてしまいます。なぜか?言いたいことをぐっと我慢して相手に同調する、という姿勢を、「美点」として評価してくれる人がほとんどいないからです。

Assertiveな態度の具体例

クラスメートに、「このグループ課題、私時間がなくてできないのよね。あなた得意そうだし時間もあるでしょ?今回はあなた一人でやっておいてよ」と頼まれた。

  • アサーティブな対応:そうか、あなたバイトが忙しいって言っていたものね。大変ね。でもそれではグループ課題にならないから、今日の放課後図書館で一緒に片付けちゃおうよ。私も一人でやるのは大変だし、これでも結構忙しいの。それに、私がひとりでやった課題の評価が二人につくのはフェアじゃないし、そんなのいやだわ。

子供の学校の先生に呼び出されて、「〇〇くんはいつも落ち着きがなく、クラスメートの勉強の邪魔をしています。」と注意を受けた。しかし、子供はいつも「あの先生、僕が手を挙げて質問しても、今は違う話をしているからって言って、ちっともちゃんと教えてくれないんだ」とあなたに悲しそうにこぼしています。

  • アサーティブな対応:先生、息子を気にかけてくださってありがとうございます。そうですか、他の生徒さんにご迷惑おかけしているとしたらそれはよくないですね。でも息子の家庭での様子からは正直ちょっと想像できないので驚きました。実はわたしもこちらからご連絡しようと思っていたことろなんです。先生はとても熱心に指導してくださっていると聞いています。ですが、うちの子供は、学校での先生とのやり取りがどうもうまくいかないと彼なりに悩んでいるようなんです。文化的な差異などから、誤解が生じているのではないかと私も実は心配していたところです。

Assertiveな態度が必要とされる背景

社会の性格として、「コミュニティ」の縛りが日本に比べて緩い社会です。こうでなくてはならない、という締め付けが比較的少ない、個人主義の社会なので、言いたいことはきちんと表現しないと、だれも推察してはくれません。また現在の北米社会は文化的にも多様で、お互いの気持ちを汲んだり、言わなくてもわかってもらうということが現実的にみて困難です。これはカナダではそれほど顕著ではないですが、それでも基本には「個人」>「社会」という図式があります。他人に利用されない、付け込まれないように毅然とした態度を示すというのは、自分を守るため、生き抜いていくために必要不可欠なのです。また、北米では「不言実行」は評価されません。自分の能力や実績を、きちんと言葉で表現し、自分をアピールできることの方が高く評価される傾向が非常に高い社会です。

Assertiveでない人はどういう風にみられるか

自分の意見や権利をきちんと表現しないでいると、仕事の場面などでは、端的に「能力がない」「ナイーブ」「日和見的」などという低評価をうけてしまうことも。また、腹では何を考えているのかわからない、つかみどころのない不気味な人物だと思われてしまうこともあります。あるいは、she / he does not care 、という風に、無関心で失礼な印象をあたえたり、あまりきちんと頭を使って考えない、いわば子供っぽい人(immature) とみられてしまう可能性も。

Passive が対義語

人格・性格について使う場合、アサーティブの対義語としてあげられるのがpassive (受動的)です。性格や人格を表すのに使うと、何に関しても受け身、人から言われたことにすべてしたがう、または自分からは何もしないし意見も言わない、という否定的なニュアンスになります。細かいことにはこだわらない、おおらかな性格、というのも、もちろん評価される人格ではあるのですが、これは通常relaxed とかlaid-backなどと表現します。なので、自己紹介や友人を紹介するときなど、まちがってもpassiveな性格ですなどと言わないようにしましょう!

Aggressive との違いに気を付けよう

さて、日本人にとってこれが一番難しいところです。日本社会でも、昨今assertivenessは実は必要とされている資質ではあり評価されている部分もあると思います。それでも、「アサーティブにならなければ」と思わされる場面に遭遇することは、日本で日本人として暮らしている限り、少ないといっていいでしょう。そんな我々が突然北米社会にやってきて、アサーティブという概念にふれ、どうやらこれはここで生き部いていくために大切なことらしいと気づく。そして急にアサーティブにふるまおうとしたときに、陥りやすいのが、assertiveをはき違えてaggressive(攻撃的)な言動をとってしまうことです。要は、自分の権利を主張するために相手に喧嘩を売り始めるわけです。残念ながら、これではコミュニケーションがうまくいくはずがありません。アサーティブというのは、自分の意見や正当な権利を主張することですが、それが相手の権利や意見を無視したり踏みにじったりする場合には、もはやアサーティブとは言えません。アサーティブであることには、相手への尊敬の念を忘れないこと、あくまでniceであることが、暗に含まれているということを忘れないようにしましょう。

Assertiveness training

北米において仕事をしたいと考える場合、assertiveness はなくてはならない資質です。日本人だけでなく、他国出身の人たちや、またときに北米で生まれ育った人たちも、もっとアサーティブになるべく努力しています。オンラインのコースなども充実しているので、ある程度英語力が身についたらぜひトライしてみましょう。

Assertiveness Training: Gain Respect and Personal Power http://Assertiveness Training: Gain Respect and Personal Power

How to Be Assertive At Work https://www.udemy.com/course/how-to-be-assertive-at-work/

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