海外移住の「後悔」と向き合う

海外生活、最初はだれでもニューカマー。

パンデミック以降、海外移住を検討、計画している人も増えているようです。

以前、海外移住の後悔について短い日記を書きました。なかなか知り合いや家族には話にくいトピックですが、海外移住経験者なら、だれもが一度は経験するといっても過言ではないのではないでしょうか。「後悔」というほどのことではないにしろ、実際、海外移住組のまわりの友人たちも、「日本に一時帰国する」ことを楽しみにしている人がとても多い印象があります。長く住んでいると、いろいろなことがあります。日々の生活が思っていたよりも楽しくなかったり、人間関係の構築がうまくいかなかったり、言語の習得がむずかしかったりということも要因になりえますし、移住前はきづかなかった日本のいいところや日本の家族・友人のありがたさに改めて気付かされることも多いものです。

後悔っていうのは、海外移住ではなくてもつらいものですよね。ときには、後悔の念が強くなるあまり、実生活を楽しめなくなってしまうこともあります。

海外移住の後悔ーどうしたら軽減できる?

絶対に帰れない、と思いこまない

海外移住の場合、すべてを白紙に戻して日本に帰国、逆移住するというのはすこし難しい場合があります。すでに日本での仕事を辞めてしまった、家を売却してしまった、あるいは学校関連の調整が難しいというようなこともあるかもしれません。また、自分以外の家族が移住先で支障なく暮らしていれば、自分だけの都合で帰国するというのも現実的ではないでしょう。

ですが、状況は、かわっていくものです。

今は無理だけれど、将来的には日本に移住・帰国を考慮してみよう、あるいは定期的に長期滞在をできるようにしよう、と考えるだけでも、気持ちが楽になるものです。

移住先をより好きになるための努力を

これはわたしの意見ですが、移住して間もないころは、日本に頻繁に長期帰国するよりも、できるだけ移住先の生活を充実させることを優先することをお勧めします。immigrant (移住者・移民)から、本当の意味でのparment resident (永住者)になるためです。

もちろん、個々人の状況によっては、ときどき長期帰国をするほうがストレスの軽減に役立つこともあるでしょう。

ここで避けたいのは、自分がどっちつかずになってしまい、自分の人生の方向性を見失ってしまうこと。

海外移住後に経験することのひとつに、帰属感の希薄化があげられます。どちらの国にも完全には属していない、宙ぶらりんの状態になるといえばいいでしょうか。また、海外にいるときには日本のいいところばかりを思い出してその国や地域に批判的になり、逆に日本に帰ると日本の問題点などがより気になったりしはじめることもしばしば。外国にかぶれている、などの評価をおそれて、自分の観察や考え、気持ちを素直に表せなくなるのもよくあることです。そこから、「誰も自分のことを理解してくれない」という孤独感に陥ったりする経験も、程度の差こそはあれ、多くの海外移住経験者が思い当たるものなのではないでしょうか。

ここから脱出するためのキーは、「海外移住者」というアイデンティティーを、いかにポジティブなものとして自分なりに構築できるかだ、というのが私の持論です。

もしあなたが海外移住を後悔しているのであれば、海外に移住した理由とモチベーションを、今一度考えてみましょう。また、移住を決めたとき、どんなメリットを想定したか、何が魅力的で移住をきめたのか、思い出してみましょう。海外移住をとおして、何を手に入れたかったのでしょうか?どんな自分になりたかったでしょうか?

そして、次に、考えてみてほしいのは、その目標や理想について、今あなたがどんな努力をしているかということです。もし何もしていないのであれば、きっと何か始めるべき時がきているのでしょうし、あるいは努力しているのに描いていた理想に一向に近づかないと感じるなら、努力の仕方や方法を見直す時なのかもしれません。

あらためて、移住先の国・地域のことを学びなおしてみましょう。現地のニュースに関心を払い、社会の仕組みなどを理解するようつとめましょう。

あなたが能動的に動くことによって、今住んでいる移住先を、もっと好きになることができるのです。

他人との比較より、今持っているものへの感謝を

日本の友人や家族が楽しそうに暮らしている話をきいたり、元の同僚の出世や独立などのニュースで、心がザワザワしてしまうこともあるかもしれません。ことに、移住先での現状が思ったように進んでいかないとき、後悔と嫉妬のような感情がないまぜになっておそってくることも。

あるいは、思いのほか移住先での就職や就学に苦戦したり、現地の人はにかなわない、または、移住してきた自分は不利だ、と思うような出来事があったりすると、後悔の念がわきあがってくることもあります。日本にいたら、日本語だったらこんなに苦労しないのに。もっと上のポジションに行けていたのに。そんな風に考え始めると、今いる場所で努力していくことがつらくなってしまいます。

よく言われることですが、こんな時に試してほしいのが、自分の人生のポジティブな部分をきちんと認識するということです。健康面、経済面、家族や友人など人間関係、知識、能力、時間、経験、運、さまざまな面を見直して、できれば書き出してみるといいでしょう。

日本の外の世界に出てくることができたのも、たぶんいろんな面で恵まれていたから。海外に来るまでの諸々を乗り越えた行動力。恋しく思う、日本に残してきた人々の存在。日本に帰りたいと思うのは、たぶんあなたが日本で多くのものを手にしていたからでしょう。そして、それらのものはたぶん、まだそこにあるのです。遠く離れていても、それをまだ持っていることに、感謝してみましょう。

「もし海外移住なんてしていなければ・・」の思考をあえて避ける

移住を後悔しはじめると、「もしあの時、日本にとどまる決断をしていたら・・・」など、仮定をもとに考えが逡巡してしまうことはよくあります。

移住なんてしなければもっと楽だったのに、日本はいい国だったのに、などと、偏った思い込みの思考が暴走しはじめると、その先にあるのは不安感の増大だけです。

自分がこういった思考に陥っていることに気づいたら、あえてそこで考えるのをやめる訓練をしてみてください。考えるのをやめる、といっても実行するのは容易ではないかもしれませんが、どんなことが考えるのをやめるのに役立つのか、いろいろ試してみましょう。

音楽を聴きながら散歩にいくもよし、ジムやヨガなどに行くもよし。友達としゃべったり、読書や趣味、ショッピングなどもいいかもしれません。もちろん瞑想は効果大でしょう。

とにかく、考えるのをいったんやめるのに役立てば、なんでもいいのです。そして、気づいてください。その時分の思考をすこしコントロールできるようになるだけで、たぶん、後悔は自然と軽減していくはずです。

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