英語でも、丁寧な表現を

よく、「日本語は敬語があるから難しい」と言われます。たしかに日本語には敬語の種類もいろいろあり、立場によって使い分けたり、敬語を重ねすぎないように気を付けたりしなければならないので、母語として使っている我々でも時として間違ってしまったりすることもありますよね。ただ、このことから、「英語は敬語がないから楽」と思ってしまう人もいるのではないでしょうか。ですが実は、そうでもないのです。

英語にも改まった言い方やカジュアルな言い方があります。例えば、あいさつひとつをとっても様々な言い方があり、TPO+その人の人柄や状況によってそれぞれに使い分けたりしますが、日本ほど「ここではこう」ときっちり決まっていません。たとえば仕事の面接でも、リラックスした雰囲気をだすためにあえて少しカジュアルな言い方をすることもあります。ですが、友達と話すのとまったく同じように話していたのでは子供っぽい印象を与えてしまい、職務上での有能さをアピールすることは難しいでしょう。マナーやエチケットに気を配り、「暗黙の了解」のラインを意識しつつ、また相手の反応や、自分が相手にどういった印象を与えたいかということを考えながら話すことが求められます。

北米では、単に相手の年齢が上だからといって、かならず改まった話し方で話さなければならないというわけではありません。ある程度の年齢以上、つまり大人同士であれば、年齢は関係なく基本的に対等、というスタンスです。したがってほとんどの人がファーストネームで自己紹介しますし、たとえば、友人宅で会った高齢の父親にたいしても、hey how’s it going? のように軽く挨拶をかわしたりします。ですが子供の場合、とくに学校環境にておいては、子供は大人にある程度礼儀正しい物言いをすることを要求されます。高校までは確実に、生徒は先生をMr. XXXやMrs. ZZなどと呼ばなければなりません。大学は先生にもよるでしょうか。しかし大学院まですすむと、今度は確実にファーストネームで呼んでくれと先生の方からいってくるものです(医学部はドクターでしょうけれどね)。職場では、上司と話すときと、同僚と話すときに言葉遣いを変える必要はありません。どちらの場合でも、その職場において「適切な」言葉遣いをすることを暗にもとめられます。北米社会にはこの「暗黙のコード」が実はたくさんあります。これについてはまた別の機会に書いてみたいとおもいます。

英語を話すときのエチケット

カナダでの英語の会話の中で覚えておきたいのは、常にマナーを意識すること、相手を敬い思いやる気持ちを持ち、それを言葉や態度で表現することが求められているということです。例えば、先に書いたように、友人の家に遊びに行ったときに、彼の高齢の父親に会ったとします。かしこまる必要はありません。Hi How are you? からはじまって、お互い名前をなのり、軽く天気の話などするかもしれません。どこに住んでいるのかとか、渋滞はひどくなかったかとか、ちょっとした冗談をかわしたりしたあと、父親はあなたにゆっくりしていくように言い残して立ち去るでしょう。そんなとき、nice talking to you, Peter(お会いできてよかったです)などといってにっこりできれば100点。おざなりな礼儀正しさより、genuineness (心からそう思っていること、うそ偽りのないこと)を持っていることとそれをサラッと表現できることが、きちんとした大人の態度として人の目にうつります。同様の文脈で、thank you, please,などをきちんということ、may I ? If you don’t mind…など相手の意向を問う言い方を心がけることも、とても重要です。話が戻りますが、まずは常に、だれに対しても、How are youから会話を始めてみることをお勧めします。グローサリーストアのキャッシャーや、電話での問い合わせの際にも、まずはhow are you? というフレーズから始めてみましょう。これがあるのとないのとでは、相手の態度も明らかに違います。あとは、相手の名前を呼びかけることを心がけること。お店のレジ係のひとになまえを聞く必要はありませんが、ちょっとした知り合い、近所の人、語学学校の受付のお姉さん、勤め先のお店の常連さん・・・などなど、必ず名前をおぼえて会話の端々でその人の名前をを呼びかけましょう。Thank you やsee you laterの後などにも相手の名前を添えるのも、マナーの一つです。

避けておいたほうが無難な表現

cursing やswearing は、とくに若者同士の会話では多用されますが、英語初心者は避けておいたほうが無難。聞く人によっては、ひどい嫌悪感をおぼえ、言葉の暴力とうけとることも。また、差別的な表現やスラングなども使わないように気を付けましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました