日本にいても、海外にいても、いつか向き合わなければならないことの一つに、親の介護問題があります。
ことに、海外に移住・永住している場合は、自分の家族や仕事などの関係で、なかなか思うように日本に帰ることができない場合が多いものです。
この記事では、親をカナダに呼び寄せるビザの種類、申請資格や申請の仕方、呼び寄せるメリット・デメリットなどをご紹介したいと思います。
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なぜ親を呼び寄せるのか
移住してから年月が経ち、私の親も年齢を重ね、年金受給者となりました。同世代の周囲の人たちからも、いろんな話を聞くようになりました。
両親と同居、あるいは近隣に生活している方の、日々の介護の中でも、いろんな困難や問題に直面していらっしゃることと思います。
一方で、日本国内でも、遠方に居住する子が親を介護するケースもふえ、「遠隔介護」という言葉も生まれました。
そんななか、海外居住者の、日本の親へのサポートも、もちろん困難な部分が多いのは想像に難くないとおもいます。
長い休みごとに頻繁に日本とカナダを往復したり、数か月ごとにリモートワークをしながら日本に長期滞在して介護をつづけている・つづけていた人もいます。
また、日本から自分の居住国に、親を呼び寄せるという選択肢を選ぶ場合もあります。
私の両親は、幸運なことにまだ健在で日本在住ですが、10年近く前から、この「永住権申請」について幾度となく話しあってきました。
そして2年ほど前に、カナダに移住せずに日本に居住を続けるという結論をだしていました。
私も、介護が必要になったら、できるだけ長期で、頻繁に日本を訪れることができるようにしよう、と考えていました。
ところが、ここにきてコロナ禍が起きました。
自由に日本と海外を行き来できるのが当たりまえと思っていましたが、かならずしもそうではないということを思い知らされました。
また、ソーシャルディスタンシングが必要になり、別の県にすんでいる私の弟を含む、日本国内にいる親戚の助けを求めることも、一時的に困難になりました。
市内に住んでいた母の弟も、病気が悪化し、子供の居住する県へと引っ越していきました。
こういった状況から、先ごろ、「カナダ移住」にトライしたい、という連絡を父からもらいました。
ビザの種類
では、親のカナダへの親の呼び寄せには、どんなビザがあるのか見てみましょう。
Super Visa
市民権あるいは永住権所持者は、Super visaにより、親または祖父母を継続して2年間までカナダに居住させることができます。このビザは、10年間有効です。
日本国籍保持者は、ビザなしでビジターとして渡航できるので、半年以内の滞在予定であればこのビザは必要ありません。ですが、6か月以上、2年以内の期間で、ビジターとして滞在を予定している場合は、super visaにアプライすることができます。
Super visaは、あくまでビジタービザなので、州の健康保険の受給対象にはなりません。したがって、自分で、カナダの保険会社から、健康保険を購入しなくてはなりません。
また、申請にあたっては、letter of invitation(カナダ在住の家族=招待者からの招待状)、招待者の所得証明、カナダの保険会社から発行された健康保険の購入証明、イミグレーション健康診断の書類などの提出が必要です。
招待者は、招待状の中で、自分の家族構成を明記し、カナダ滞在中の申請者への金銭的サポートを誓約しなければなりません。
このビザは、オンラインでの申請が可能です。
現在は、コロナ禍の影響により、遅れがでているようです。
永住権 -スポンサーシップ
スポンサーシップというのは、一定期間の間、経済的な援助を約束したうえで、家族を海外から永住者としてカナダに呼び寄せることを指します。
以前は、いつでも申請ができましたが、ファミリークラスのスポンサーシップは過去大変な数の応募者がいたため、毎年ごく短い期間のみの募集となってしまいました。
また、スポンサーシップの期間も、以前は10年だったのですが、現在では20年に引き伸ばされています。
近年、ファミリークラスのスポンサーシップの申請は、2段階にわけられています。毎年1月に短期間のみ第1段階の募集が行われ、予定人数に到達した時点でその年の募集は締め切られます。
第一段階では、スポンサーする側が、Interest to Sponsor Fromを記入して提出します。その後、カナダの移民局より、本申請を行うよう連絡が来ます。その連絡を受け取って60以内に、スポンサーシップアプリケーションと、イミグレショーンアプリケーションの両方を提出しなければなりません。
2020年は、コロナ禍の影響で、現在までファミリークラススポンサーシップは延期されており、今現在も申請のタイミング等は発表されていません。
すぐにでも応募したい!という場合は、twitterでカナダ移民局をフォロー(@CitImmCanada)するか、こまめにカナダ移民局のサイトを除いてみましょう。
スポンサーシップによる永住のメリット
まず、永住権を保持することのメリットあげられるのは、もちろんですが無期限でカナダ国内に滞在できるということでしょう。
また、特に高齢者にとって、州の医療が無料で受けられるというのは大きなメリットです。65歳以上だと、処方薬も公的な保険が適用され、かなり少額の自己負担ですみます。
介護が必要になった場合にも、州のホームケアなどのサービスが受けられることもあります。
また、まだ若いシニアの場合、もちろん、仕事があれば働くこともできます。
また、年金の受給資格も永住のメリットの一つです。
カナダの公的老齢年金のひとつOld Age Securityは、65歳以上、永住者またはカナダ国民としてのカナダ居住10年以上(18歳になったのちの居住年数)で受給資格が得られます。その他の所得の有無・金額や、合計居住年数によって金額はことなります。
ビジターとして居住した年数はこの「10年」には含まれません。
スポンサーシップによる永住のデメリット
まず、申請・取得に、2年ほどの時間がかかります。なので、急を要する状況にある場合には適当ではないでしょう。
次に、経済的な問題です。
スポンサーするということは、すなわち、カナダ滞在中の親の経済的ニーズを自分が保証することを誓約する、ということです。
今は元気でも、自分が、病気やケガで働けなくなることも。
自分の現在の年齢にとよっては、20年の間に退職をするということもあり得ます。
また、親もさらに年をとり、介護が必要になったり、認知症を発症したりすることも十分に考えられるでしょう。
基本的に、スポンサー期間中は、カナダからの生活保護などの特別な経済サポートは受けられません。
また、親の介護を理由に、自分が生活保護をうけとることもできませんし、家庭内で介護の義務のある人に対する経済的な援助も、ほとんどないのが現状です。
介護施設への入居も、無料ではありません。
日本からの年金額や資産について、事前の十分な検討をおすすめします。
また、永住権取得後は、5年間のうち2年(750日)以上はカナダに滞在することが、永住権を保持するにあたって義務付けられます。
ですので、仕事やその他の理由で、カナダ国外に滞在する期間のほうが長くなることが予想される場合は、永住権を取得しても、その後に失効してしまう可能性が考えられます。
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