夫婦とも海外からの移民の私たち家族にとって、現地の高校からの大学入学というのは、長男が初めて経験でした。我々親が知人に聞いたり、子供自身が周りの友人や先生、学校のガイダンスカウンセラーに質問したりして集めた情報をもとに、手探りで希望の大学を決め、申請しました。
カナダには、基本的には高校も大学も入学試験というのはありません。学部入学の決め手は高校の内申点。大学や学部によっても違いますが、通常は12年生(高校3年生)の前期までの成績、もしくは11年生(高校2年生)の成績の一部も考慮されて入学許可があたえられるようです。希望する大学・学部によって、高校でとらなければならない科目が規定されており、選考にあたってはそれらの科目の内申点および全科目の平均点を審査するようです。
一部大学のエンジニアリング(工学部)やコンピュータサイエンス、医学部の準備段階としてのヘルスサイエンス学部などは、大学によっては推薦者(リファレンス)や自己紹介文の提出をもとめられたり、面接試験があるところも。
高校のそれぞれの科目の成績は、定期試験のほか、小テストやレポートなどの課題の評価によって総合的にきめられます。科目ごとに、あらかじめ点数の割合(例えば定期試験40%、小テスト10%x2、レポート20%x2など)が発表され、それにあわせて生徒は目標の点数(%)を維持できるよう通年努力し続けなくてはなりません。もちろん、12年生で良い成績をとるためには、それまでの積み重ねも必要になるので、特別な受験勉強をしなくてもよい代わりに、普段からコツコツと勉強を続ける必要があります。大学・学部によっては、だいたいどのくらいの成績が必要か(mid 80s, high 80s, low 90s などなど)というのが公表されています。また、足切りの点数が設定されているところも。
息子の通っていた高校は、通常は前期、後期の2期制(2 semesters)で、各期4単位まで取得することができました。面白いかったのは、1期=4,5か月の間、同じ4コマの授業が毎日繰り返されていたこと。例えば、あるsemesterで、英語、歴史、数学、音楽、の4科目を受講することにしたとすると、毎日毎日その4科目の授業がsemester の間中繰り返されるわけです。息子は高校4年間(日本の中3=9年生から高3=12年生まで)で体育を一単位だけ取らなければならなかったのですが、当たり前ですがそのsemesterの間は5か月間毎日のように体育の授業・・。また、semesterによっては数学や英語といった基本的な科目をとらない場合もでてくるため、半年間数学の勉強はまったくなし!などということもありました。
コロナ禍の間は、このsemeser 制がなぜか4期のquadmester制に代わり、2科目づつを2ー3か月で勉強することになったりして、生徒たちも先生たちも対応するのに苦労していたようです。
また、オンタリオの高校は、卒業資格の一つに、4年間を通じて40時間以上のボランティアをしなければならない、というのもあります。コロナ禍影響で、一般にボランティアの機会が減ってしまったことで、戸惑った生徒たちもいたようです。
オンタリオ州では、大学のアプリケーションはOUACというポータルからオンラインで行います。このポータルから、州外の大学にもアプライすることができます。12年生の秋から申請がはじまり、1月末の期日前にはすべての必要書類を提出します。9月入学に向け、早ければ2月中には合格通知が受け取れます。成績やその他の功績・ファクターをもとに、6月まで数か月かけて段階的に合格通知がOUACを通じて各生徒に送付されていきます。最終的には、6月末の期日までに一校に絞って入学許可を受理し、進学先を決定します。
推薦枠+一発逆転の受験のチャンスがある日本の制度が良いのか、はたまたコツコツ派を養成するカナダ方式が良いのかはわかりませんが、数十年前に自分が経験した日本の受験とはずいぶん違うなあ・・・と思いご紹介してみました。
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