カナダ大都市部の住宅マーケット

カナダ

こんにちは、ころっちです。

ころっち。カナダ、オンタリオ州在住。現地の大学院をでて、英語onlyの環境で15年以上、医療ソーシャルワーカーとして働いています。

トロント周辺は、カナダ国内でもBC州のバンクーバー、ビクトリアなどに次いで地価・家賃が高額なことでしられています。

しかも、住居費は年々上がり続けています。

最近不動産業の人と親しくなり、いろいろ話をしている中で、住宅マーケットの仕組みが日本とはかなり違うんだなあと改めて感じているので、今日はそのことについてお話しようと思います。

あくまで、一住民の視点からの考察になります。ご了承くださいね。

続く住宅バブル

2000年前後以降のカナダの住宅価格の高騰は、国外からの投資家の影響が大きいとされています。

わたしがカナダに来た二十数年前に比べると、トロント都心部およびその近郊での中古住宅の価格は、ざっくりみても3倍の値段になっています(資料をみたら、平均の市場価格の上昇が年に7%ということで、10年でだいたい2倍という計算だそう)。

都心部では、戸建て住宅は日本円相当で1億円をくだりませんし、郊外でも、通勤圏では、家の広さがひろくなるもののやはり5千万以上というような値段です。

いわば、住宅バブルが続いているのです。では、どうやってこのような高額の住宅を購入・維持できるのでしょうか?

持ち家が圧倒的に有利

カナダの住宅は、一般的にレンガ造りがほとんど。

リノベーションやメンテナンスの必要はあるものの、古い家も取り壊されずに100年以上住居として機能し続けます。

これが、継続的な需要の拡大とあいまって、住宅保有者の資産額の上昇に寄与しているわけです。

例えば、家を購入した場合、中長期的に見た場合、その値段が下がるということは少なくともここ30年起こっていません。

逆に、上記のようにその値段は上がり続けているので、住宅購入は、実用性だけでなく、投資の観点からも理にかなっているというわけです。

信用(クレジット)社会

また、個人のクレジットレーティング(借入と返済の履歴をもとに作られる、個人の信用度の点数のようなもの)や持ち家や金融商品などといった資産の情報をもとに(または抵当に入れる形で)、かなり簡単に銀行などから比較的低金利で融資をうけることもできます。

住宅など固定資産の評価額・価値のことをequityといいますが、このequityの上昇分を借入してさらにこれを投資したり、またさらに値段の高い家に買い替えたりすることもよくあります。

ただ年々地価があがっていますので、初めて住宅を購入しようとする場合は、これもだんだん難しくなってきて来ている傾向にあります。

若いカップルなどは、したがって、比較的値段の安い、遠方の郊外に住宅を購入せざるを得ない場合も多いようです。

広がる格差

しかし、この住宅購入ゲームに参戦するにも、まずは資金が必要です。

頭金はもちろん、住宅ローンの審査に通るためには、収入やクレジットレーティングがある程度必要ですし、仕事の関係で、郊外に引っ越すわけにもいかないという人もいます。

住宅保有者のequityが年々上がっていく一方で、賃貸の場合は逆に年々賃料が上がっていくわけですから、たまったものではありません(もちろん、すでに居住しているテナントの賃料をあげる上限はきまっていますので、おなじところに住み続ける限りはそんなに問題ではありませんが)。

また、近年のAirbnb人気から、かねてより賃貸物件が相対的に減ってきているという問題も報告されていました。

また今回のコロナの影響で、希少だった賃貸物件が増え、家賃の平均額が下がってきているという報告もありますが、一方で家賃が払えない人も多く出てきてしまいました。

こんな中で、保守のオンタリオ政府は現在、住人よりも家主に有利な法制度(Bill 184 : the Protecting Tenants and Strengthening Community Housing Act)を導入しようとしていると一部から批判されています。

不動産投資は安全?

不動産のバブル崩壊を経験した日本人、またその子供世代の日本人にとっては、不動産投資というのはどうも危なげにみえてしまうのではないでしょうか。

少なくともわたし自身は、どうも「そんなうまい儲け話があるものではない」と思ってしまいがちです。

また、日本社会では一派的に「投資」よりも「節約」や「貯蓄」が奨励される傾向があり、またリスク回避を優先する国民性というのもあるでしょう。

しかし、住宅以外の物価や生活費全般の上昇をみると、ただ節約して貯蓄するだけでは資産は相対的に目減りしていく一方だというのも一理あるようにも思えます。

住宅バブルは、まだまだはじけないのでしょうか?

移民政策が違いを生む?

経済の安定あるいは拡大ということについて、カナダが日本に対して有利なことがあるとすれば、それは移民政策でしょう。

カナダは人口の増減の調節を、移民政策を調整することによって行っています。

住宅マーケットも、移民の流入が続く限り、特に都市部では需要は増え続け、中長期的には不動産の価値も上がり続けるというのがオプティミストの見方のようです。

ただ、もちろん、このようなトレンドが続くのであれば、所得に応じた住宅供給を、政府が保証していく必要があるというのが私の意見です。

カナダにお住いのみなさん、どう思いますか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました